『TCR Japan series』開幕直前!! TCRについて知っておきたいこと!!


Honda CIVIC TCR

(写真はS耐のST-TCRの501号車)


『TCR Japan series』という新しいカテゴリーの始まりまで1ヶ月を切り、参戦ドライバーの名前がエントリーリストにどんどんと追加されてく中、改めてこの『TCR Japan series(以下、TCRJと表記)』に付いて知りたいと思うレースファンは多いのではないでしょうか?


このTCRJについてですが、先ずはこのTCRJ公式HPのリンクを読んでいただきたい。

https://tcr-japan.jp/about.html


さて、読んでお分かりかと思いますが、この『TCRJ』というカテゴリーで走る「TCR規格」について極力大雑把に、ざっくりと書くとこうなる。


”GT3よりも安価な4ドア~5ドアのFFツーリングカーの世界規格”


と、かなり大雑把なので以下も読み進めていただきたい(汗)


ここ大事!『TCR車両』の特徴とは?!

Honda CIVIC TCR

TCRは元はWTCC(世界ツーリングカー選手権)を筆頭に作られたツーリングカーの車両規格の一つでした。


それも最下層の「カスタマー向け」、つまりアマチュアドライバーが参戦するクラスをメインに用いられるクラス。


頂点:自動車メーカーのワークス車両などを対象とした改造範囲の広いTC1

  ミドル:TC1の型落ちで改造範囲を狭めた車両のTC2

     カスタマー:そしてカスタマー向けに生産されたTC3(のちにTCRに名称変更)


というツーリングカーのカテゴリーピラミッドを形成するつもりでしたが、頂点となるTC1からそれまで参戦してきたシトロエン、ラーダなどが撤退。


改造範囲が広くて、参戦台数ワークス供給のみと少ない台数となるとお金がかかるのが難ということで、2017年には自動車メーカーのワークス参戦がホンダとボルボの2社となった結果、TC1/TC2規格でのWTCCも2017年シーズンで13年の歴史に幕を下ろしました。


そんな中、逆に流行のカテゴリーに成長していったのが『TCR』なのだ。


TCR/Audi RS3 LMS

TCR規格は『TCRアジア』など地域国際レース、『VLN』や『スーパー耐久』などの世界各地の耐久、スプリント問わず様々なレースでTCR車両は人気になり、WTCCもTCR規格を採用したWTCR(FIA 世界ツーリングカーカップ)へ移行しました。


「なぜTCRが人気になったのか?」といえば、車両コストの安さが挙げられます。


同じカスタマーレーシング車両として人気の高いGT3車両はマニファクチャラーによって価格は大きく変わりますが、少なくとも日本円で約4000万円かかります。


そんな中、TCRは車両価格13万ユーロ以下(約1670万円以下)と定められており、比較的プライベーターチームでも手が届きやすい価格となっています。


ただ安いだけではなく、スピードも持っています。


鈴鹿でGT3の11秒落ち?!

Honda CIVIC TCR

参考までにスーパー耐久 2019開幕戦鈴鹿ではGT3車両で繰り広げられるST-Xクラス、Aドライバーのトップタイムは2'01.086。


対するST-TCRクラスのAドライバートップタイムは2'12.874とその差は約11秒しかありません。


車両価格で倍、もしくは3倍以上違うにも関わらず、FWDでこのタイムを出せるのはかなりお安くて、速いクルマだ。


こういった点がレースを楽しむ、ジェントルマンを中心に好評を得たことが流行った理由でしょう。


これでTCRという車両のスピード、そしてスピードに対するコストパフォーマンスの高さはご理解頂けたかと思います。


ただ、乗り手として、レーシングドライバーとして「どういうクルマなのか気になる」という方もいらっしゃるのでは?


もちろん、乗ったことがないレーシングダイアリー編集部としては実際にTCRに乗って試したいところでしたが、あいにく時間もなければお金もないという・・・


そこで、実際にTCRでレースに参戦したドライバーに話を聞きたいと感じ、知人を介してTCR経験のあるドライバーの方に取材を申し込んだ。


そして今回、2018年 スーパー耐久 開幕戦に"Audi Team DreamDrive Noah"からTCRのAudi RS3 LMSで参戦した経験を持つ石崎敦士氏にお話を伺うことができたので石崎氏からの生の声をお届けしよう。


ドライバーとして感じた『TCR/Audi RS3 LMS』

昨年はニュルブルクリンクVLNシリーズにも挑戦した石崎敦士氏

石崎「TCRは市販車ベースで作られたレーシングカーなので、基本的には市販車の面影が残っていますが、ペダルレイアウトの面ではブレーキペダルが左側に寄っており、左足ブレーキを想定された車両作りになっているとのことです。


実際右足ではブレーキペダルが遠く感じられたので走行時は左足ブレーキを使っていました。」


石崎敦士『TCR/Audi RS3 LMS』走行インプレッション

(写真は今シーズン参戦中の”19号車 バースレーシングプロジェクト” のAudi RS3 LMS)

石崎「まず、6200回転で340馬力を発生させる2リッターターボエンジンは、低回転からの加速では若干のターボラグを感じますが、適正な回転をキープすればDCTと相まって大排気量NAのようなフラットな加速見せてくれます。


同じ2リッターターボを搭載するST2クラスとの直線加速勝負ですが、車重の違いとDCTによるシフトアップの速さがポイントで、シフトアップの度に車間が開いていきます。


車体もホイールベースの長いセダンボディなので非常に安定性が高いのも特徴的でした、しかしそこはFFレーシングカーらしく、タイヤが暖まり切らないうちに(特にリア)攻めすぎるとオーバーステアが顔を見せます。


車両数が多いのもこのクラスの魅力のうちで、エンジン特性や足回りの違いなど、それぞれの車両の特徴を見比べながら楽しむ事が出来るのもTCRの面白さの一つかなと思います。」


*石崎敦士/イシザキアツシ

2016年よりスーパー耐久に参戦を開始。2017年:ST2クラスにフル参戦。

2018年:ST-TCRクラスとST2クラスにスポット参戦しもてぎでは表彰台を獲得。

2018年にはドイツ・ニュルブルクリンクのVLNシリーズにもチャレンジした。




TCR車両ギャラリー


日本でもスーパー耐久で昨シーズンは9台も参戦したTCR。

TCRJではスーパー耐久でもお馴染み、ホンダシビック、アウディRS3、フォルクスワーゲン Golf GTIに加え、55 MOTO RACINGチームからはスーパー耐久には参戦していない『アルファロメオのGIULIETTA』も参戦する。


Honda CIVIC TCR

Honda CIVIC TCR

Audi RS3 LMS

Audi RS3 LMS

Volkswagen Golf GTI TCR

Volkswagen Golf GTI TCR

まとめ

TCRJの開幕戦は2019年5/18~19 にスーパーフォーミュラと併催でオートポリスで開幕する。


ベテラン密山 祥吾、2018年は飛躍の年となりそうな松本 武士、ヒトツヤマの秘蔵っ子、篠原 拓朗が参戦を発表。


そしてジェントルマンクラスではPaul IP選手、植田 正幸選手に代表されるジェントルマンも総勢10名エントリーを発表しています。


公式HPにも記載はありますが、”TCRJではトッププロの出場を制限しており、FIAカテゴライズシステムの「プラチナ」「ゴールド」ドライバーはレース参加は認められない”と。


私はここにTCRJが発展していくためのポイントがあるように感じます。


JGTCもそうでしたし、現在のスーパーフォーミュラの源流となった全日本F2選手権もそうであったように、”新しいカテゴリーは、そのカテゴリーを盛り上げるジェントルマンの方々の参戦、お力添えがあって成長を遂げる”と筆者は考えております。


プロばかりが参戦しては、TCRのいいところである『コスパに優れたクルマ』という点を生かしきれませんしね。


そのため、参戦15台中10台がジェントルマンクラスというのは嬉しくもあり、新カテゴリーに理解のあるジェントルマンドライバーの方々に、1ファンとして感謝の念を感じております。


10人のジェントルマンのおかげで、私たちレースファンは新しいカテゴリーを見ることができるのだと。


日本レース界に久しぶりに誕生する全く新しいカテゴリー『TCRJ』の開幕を楽しみにしつつ、今宵は筆を置かせて頂きます。


Honda CIVIC TCR

*富士での合同テストに足を運べなかったため、本記事の写真は全てスーパー耐久 ST-TCRクラスの物をしようしております。


ALL Photo By Racing Diary

1575314279_1575314289

モータースポーツ情報&ニュースサイト『RacingDiary』

海外レースやeモータースポーツ​の情報も満載!!

Motorsport Web Magazine for Japanese.

Copyright © Racing Diary Editorial Department