ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジア それぞれの最終戦② ”チャンピオン”落合俊之


前記事と同じ書き出しになってしまいますが・・・『2019年のランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアはプロアマクラスが特に面白った』です。


年齢も、”プロとアマ”という立場も違う2人の日本人ドライバーが最終戦のヘレスでも凌ぎを削るレースを見せてくれました。


愛知県名古屋市でランボルギーニ専門店『ランボスタイル』を経営する傍ら、長年スーパートロフェオに参戦してきた50歳のアマチュアドライバー落合俊之選手。


ランボルギーニ・スクアドラ・コルセのヤングドライバープログラムへ選出された経験もあり、先日23歳の誕生日を迎えたばかりの”プロドライバー”の根本悠生選手。


今回はプロアマクラスで戦う2人の日本人のうち、”アマチュアドライバー”の落合俊之選手のランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジア 最終戦 ヘレス レース1の模様をお届けいたします。



プロアマクラスチャンピオン目前に・・・


ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアのプロアマクラスのチャンピオンを射程に捉えてスペイン・ヘレスサーキットに降り立った、和歌山県に本拠地を構えるHOJUST RACING。


しかし、ヘレスでの戦いも”順風満帆”というものではありませんでした。


多くのレーシングチームがそうであるように、HOJUST RACINGも予選前からトラブルやアクシデント、そして”時間”に追われていたのです。


10月24日木曜日、アジアシリーズとUSAシリーズのフリー走行2が終わった14時30分過ぎ、HOJUST RACINGの車両はランボルギーニ・スクアドラ・コルセの作業ピットで溶接作業を受けている姿を発見。



HOJUST RACINGのチームメンバーは損傷したリアカウルの補修箇所の確認を行なっています。


これは一体どういう状況なのか、チームとの話し合いの合間を縫って落合選手にお話を伺いました。



落合ウラカン・スーパートロフェオではよくある事らしいですが、リアのフレームの真ん中にクラックが入ってしまい、そこを溶接で補強してもらったんです。


そしたらフレームが固くなって・・・リア足の動きが変わっちゃって。


それでFP2で相棒のアフィックがコースアウトを3回も4回もほどして、3回目にリアバンパーをグラベルに引っ掛けて外れてしまって、バンパーを止めるステーも折れてしまったのでそれを今溶接お願いしています。


車がすごい不安定になったので、予選までにそれを直そうと思ったんだけど・・・もう予選始まってしまうので・・・とりあえず形にして、ちょっとでも予選を上の方で終えれるよう頑張って気をつけて走るしかないかな


この時点で予選まで1時間弱しか残されない中、セットアップの変更もままならない状況となったHOJUST RACINGの238号車。


幸いにもステーの溶接とリアカウルの補修は間に合い、予選への出走は叶いました。





予選

16:00から決勝レース1のスターティンググリッドを決定する20分間予選Q1が開始されました。


Q1担当は落合選手、USAシリーズとアジアシリーズの混走の予選は出走32台と普段のアジアシリーズよりも10台も多い中、3周目に1'44.662を記録。


一旦ピットを挟み6周目にベストラップとなる1'43.801を記録しアジアシリーズ総合7番手、プロアマクラス5番手となりました。


予選Q2を担当したアフィック・ヤジッド選手は2周目の1アタック目に1'42.935を記録し総合3番手、プロアマクラス3番手を記録、その後も2度アタックラップに入りましたが、タイムアップには至りませんでした。





落合俊之選手 予選後インタビュー

落合「元々足の動きが柔らかいということでセットを固めに変えていったら、原因がフレームのクラック。


それでフレームを溶接して、足回りをそのままで行ったら固すぎちゃって・・・新品のタイヤのうち3周くらいまではなんとかタイヤが耐えてくれていたんだけど、4周目くらいから滑っていくので僕も3周のうちにタイム出さないと!!と思って・・・アメリカのプロクラスのクルマについて行ってみたら途中で「あ、こいつそんな速くないやつだ!!」って気付いて・・・つんのめって・・・それで次の周、前方に誰もいない状況でアタックしたら最終コーナーで飛び出しちゃって・・・それがベストタイムになっちゃいました。


これ以上走ると相棒のアフィックの予選がしんどくなるのでやめました。


飛び出したベストラップは途中までアフィックの0.18秒遅れで来てたので「これはいける!」と調子に乗って欲張ったら最終コーナーで飛び出しちゃって結果0.8秒ロスしちゃいました。


Q2のアフィックの予選は僕が使ったタイヤと、ガチガチの足だったのでダメでした。


今更ですが、明日のレースではセットアップをラウンド5(上海)までのセットに戻していこうかなと考えています。


明日に関しては”大人しく、精一杯”走ろうと思います





決勝レース1

10月25日 午前10時、夜明けの遅いスペイン・ヘレスに朝焼けに近い太陽光が斜めに差し込む中、50分間のレース1がスタートしました。


スタートはオフィシャルカーの無線のトラブルや他車のオイル漏れの影響もありレース開始から8分間はセーフティーカー先導のままレースは進行。


これが238号車にとって好条件を生み出しました。


プロアマクラスはプロドライバーとアマチュアドライバーが交代でドライブするクラスです。


必然的にプロのペースの方がアマチュアよりも速いことから、長い時間プロドライバーが速いペースで走ることで、アマチュアをサポートする形となります。


このレース1でレース開始から8分間セーフティーカーが導入されたことで、プロアマクラスの中で、スタートをプロが担当したチームは、プロのレースペースでの走行時間が減ることなり、他車とのギャップを想定より広げることができなくなりました。


238号車 HOJUST RACINGのライバルはポールポジションからスタートした根本悠生選手の乗る266号車 VSRでした。


根本選手はアジアシリーズ最速ラップを記録し、プロクラスの2台にも交わされることもありませんでしたが、15周目にアマチュアドライバー、香港のアレックス・アウ選手に交代してからはペースが上がりません。



一方238号車 HOJUST RACINGの落合選手は44秒台から45秒台後半というアマチュアドライバーの中で最速ペースで周回を重ね11周目にピットイン、アフィック選手に交代しました。


レース時間残り13分時点でアフィック選手とアレックス選手とのギャップは20秒。



ここから238号車 アフィック選手は43秒台を刻み続け、確実に266号車に近づいていきます。


国際映像がアジアシリーズのプロクラスのチャンピオン争い(Gama RacingとFFF Racing Team)を捉える中、ライブタイミング片手にコースサイド 7コーナー外側にいた私は


「これは最終ラップで追いつく」


と気付き、急いでホームストレートに戻りました。


写真は最終ラップの27周目に差し掛かった266号車 アレックス・アウ選手と238号車 アフィック・ヤジッド選手。


アフィック選手は26周目に自身のレース中のベストラップでもある1'42.980を記録、対するアレックス選手の26周目は1'45.421、これでは順位を守りきることはできません。


チェッカーを受けた際には0.226秒 238号車が前に出ており、HOJUST RACINGがプロアマクラス優勝、総合でも3位に入りました。


また、このレースの勝利でレース2を前にHOJUST RACINGの落合俊之選手とアフィック・ヤジッド選手がランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジア プロアマクラスのチャンピオンを獲得しました。





決勝結果(出走16台/完走14台)

1:268 GAMA RACING(エヴァン・チェン/クリス・ヴァン・デル・ドリフト)

2:263 FFF RACING TEAM(笠井崇志/ユソ・プハッカ)

3(Pro/Am 1位):238 HOJUST RACING(アフィック・ヤジッド/落合俊之)

4(Pro/Am 2位):266 VSR(アレックス・アウ/根本悠生)

5(Pro/Am 3位):277 LEIPERT MOTORSPORT(フィリップ・カドゥーリー/ダン・ウェルズ)





落合俊之選手 レース1後インタビュー

落合「アフィックがあの中でもすごい頑張ってくれたのがありがたくて・・・


自分がどんどんペースダウンしちゃったのと、途中無線で『ペースカー入ります』って言われて『え?!なんでペースカー入るの?!』って言ってたら後ろからどんどん来ちゃうから『本当にペースカー入るの?!』ってなっちゃってそこで2~3秒損しちゃったんですよね。


『しまったなぁ~』と思って・・・そこは自分の判断で動けばよかったんだけど・・・やっぱ反省は色々ありますね。


足回りのセットの感じも”完全に元に戻ってる”って僕がクルマを信頼してアタックすれば良かったけど、ちょっとビビりも入ったし、ワールドファイナル含めて残り3レースあるんでやっぱここで無理するよりかわなぁ~という感じになったのであまりいいタイムは出せなかったんですよね。


まぁ結果としては良かったんですが、反省点の多いレースとなりましたね




まとめ

シーズンを通して”とてつもない強さ”が際立ったHOJUST RACINGでしたが、取材させて頂くと順風満帆とは真逆の状況も少なくはありません。


そんな中で”強さ”を際立たせられるのにはチームとドライバーのハードワークの結果なのかもしれないと感じました。


驚きなのは、この”強さ”を見せるレーシングチームがアフィック・ヤジッド選手を除いてみんな”レースの素人” ”ただレースが大好きで仕方がない人の集まり”ということです。


そんなHOJUST RACINGを身近から見ていると、『好きこそ物の上手なれ』ということわざが思い浮かぶのは私だけではないのではと思います。


次回はスーパートロフェオ・アジアの最終戦 レース2の模様をお届けいたします。


ALL Photo&Text by RacingDiary



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